【妄想官能物語】背徳の甘い罠 3-1 淫らな目覚め

第三話「囁く罪」

第一章「目覚める朝」

目を覚ました瞬間、私はどこにいるのか分からなかった。

シーツは柔らかく、知らない香りがする。微かに残る肌の火照りと、隣にある温もりが、昨夜の出来事を静かに思い出させた。

「……っ」

私はそっと目を開けた。

隣では、翔が穏やかな寝息を立てている。寝ぼけたような表情のまま、薄く開いた唇。シーツからのぞく肩のライン、深い眠りに落ちている安堵の気配。

この男に、私は抱かれた。

ゆっくりと自分の手を見つめる。何度も翔に触れ、彼に抱きしめられたこの指先は、昨夜の熱をまだ覚えていた。

――こんなこと、してはいけなかったのに。

喉の奥で小さく息を呑む。心臓が、痛いほど強く鼓動していた。

ホテルの部屋は静かだった。

カーテンの隙間から差し込む朝の光が、昨夜の熱を冷ますように白く淡い。

ゆっくりとシーツを引き寄せ、私はそっと身体を起こした。翔を起こさないように、静かにベッドを降りる。

床に落ちた昨夜の名残――シワの寄ったワンピース、乱れた下着。

それを見た瞬間、強烈な罪悪感が押し寄せた。

「……っ」

目を閉じて深く息を吐く。

夫の顔が、ふと脳裏をよぎった。

いつも通りの朝、私を迎えるあの優しい声。何も知らずに、私を愛してくれる人。

その人を裏切った。

心臓がぎゅっと締め付けられる。

それなのに――

昨夜の翔の指の感触が、唇の温度が、身体に焼き付いて消えない。

「帰るのか?」

低い声が背後から届いた。

驚いて振り返ると、翔がベッドの上でゆっくりと身を起こしていた。

「……起こしちゃった?」

「気配で分かった。」

まだ眠そうな顔のまま、彼はシーツを片手で掴み、私をじっと見つめた。

「帰らなきゃ……」

「……そうだな。」

翔はふっと笑って、シーツに顔を埋めるようにため息をついた。

「後悔してる?」

その問いに、私は言葉を詰まらせる。

「……分からない。」

嘘だった。

後悔している。だけど、それ以上に――

「……でも、昨夜は……」

言葉を選ぼうとする私を、翔はそっと腕を引いて止めた。

「由梨。」

呼ばれた瞬間、心臓が跳ねる。

「……また、会えるか?」

その言葉が、何よりも私を狂わせた。


➡️  次章『囁く罪-目覚める朝』
⬅️  前章『快楽の扉-禁断の熱』
🏠小説TOP『求める罪…それでも私は堕ちていく』



					

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。