【官能に溺れる日記】18歳、限界の先で

愛していた。
彼のすべてを受け入れられると思っていた。
でも、ある日気づいた――
これは愛ではなく、ただの「支配」だったのかもしれない。
溺れる夜
彼と初めて結ばれたのは、17歳の冬だった。
そのときの彼は優しかった。痛みに顔を歪める私を気遣い、何度も「大丈夫?」と囁きながら、ゆっくりと奥へ進んでくれた。
――好きだから、すべてを受け入れよう。
そう思った。彼のことが本当に好きだったから。
それから何度も身体を重ねた。最初は戸惑いもあったけど、彼が愛おしくて、彼に触れられることが嬉しくて、いつしか私は「彼が求めることなら、なんでもしてあげたい」と思うようになっていた。
だけど――
「……ねえ、こういうの、してみない?」
18歳になった頃から、彼は少しずつ、私の知らない扉を開け始めた。
最初は、ただの好奇心だと思った。
「ちょっとくらい、いいでしょ?」
彼の目は期待に満ちていた。好きな人の期待に応えたい。そう思ってしまう私は、きっと愚かだったんだと思う。
「……怖くない?」
「大丈夫、大丈夫。俺がちゃんとするから」
そう言われると、断れなかった。
それが少しずつエスカレートしていくとも知らずに。
歪んだ愛
最初は、ちょっとした刺激だった。
「お前って、こういうの好きなんじゃね?」
彼がそう言いながら、私の手を縛ったとき。
最初は戸惑った。でも、彼の目がすごく興奮していて、「……これが、彼の好きなことなんだ」と思うと、嫌だとは言えなかった。
「気持ちいい?」
彼がそう聞くたびに、私は小さく頷いた。
「……うん」
それが嘘だとしても。
だんだん、彼の求めることが激しくなっていった。
「……ちょっと痛い」
そう言っても、彼は気づかないふりをした。いや、もしかしたら、気づいていても、無視していたのかもしれない。
ある日、彼が言った。
「俺さ、お前のすべてが欲しい」
「……うん」
「もっと、俺のために乱れてよ」
その言葉が、私の中で何かを引っかけた。
――これ、本当に「好き」なのかな。
彼が求めるのは、私の気持ちじゃない。私の「身体」だった。
「……もう、無理かも」
その言葉を口にするまで、時間はそうかからなかった。
別れの朝
カーテンの隙間から、朝の光が差し込んでいた。
私の体には、昨夜の名残がいくつも刻まれていた。赤い痕、うっすらとした痛み。
「……そろそろ、起きろよ」
彼の声が響く。
私はぼんやりと天井を見つめたまま、動かなかった。
「なあ」
彼が私の頬に触れる。その手の温もりは、昔と変わらないはずなのに――もう、心が震えなかった。
「……もう、無理かも」
そう言った瞬間、彼の手が止まる。
「……は?」
「もう、ついていけない」
「なんで?」
「……怖いの」
その一言で、彼の顔が変わった。
「……怖い?」
「うん」
「俺が、お前を愛してるのに?」
「……これって、愛なの?」
そう言った瞬間、彼の顔が怒りとも困惑ともつかない表情に歪んだ。
「……なんで、そんなこと言うの?」
「……もう、やめたいの」
「お前、俺のこと好きなんじゃないの?」
「……好きだったよ。でも、もう……」
「ふざけんなよ」
彼の手が、私の肩を掴む。その力が、前よりも強くなっている気がして――私は、そっと彼の手を払いのけた。
「……行くね」
彼が何かを言おうとしたけど、私はもう聞きたくなかった。
静かにベッドを降りて、服を拾う。
「……お前、俺なしで生きていけんの?」
背中越しに、彼が低く言った。
「……うん」
「嘘だろ」
「……ほんと」
「……帰れよ」
彼の声が冷たく響いた。
私は振り返らず、ドアを開ける。
――これが、終わり。
私は彼の部屋を出た。
二度と戻らないと決めて。
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