【背徳に濡れる官能日記】18歳、さよならの夜に

まだ好き。でも、このままじゃ壊れてしまう。
彼の温もりを振り払えないまま、私は「お別れ」を選んだ。
「愛してるのに」
「……また、今日も来てくれた」
彼が少し嬉しそうに笑う。
「うん」
私は静かに頷いた。
この部屋に来るのは、きっとこれが最後。
そう決めていたのに、彼の顔を見ると、まだ「やっぱりやめよう」なんて思ってしまう自分がいる。
「なんか、今日の雰囲気、違くね?」
「……そう?」
「なんか、お前……冷たい」
彼の指が私の髪を梳く。
その仕草が優しくて、胸が締めつけられる。
やめて。そんなふうに触れないで。
私がまだ、あなたを好きだってこと、気づかせないで――。
「揺れる気持ち」
「……お前、最近変わったよな」
彼の腕の中で、私は息を詰める。
「……そう?」
「うん。なんか、俺のこと避けてる気がする」
図星だった。
彼に抱きしめられながら、心はずっとここから逃げ出そうとしている。
「……そんなことないよ」
嘘だった。
だけど、認めたくなかった。
「……なあ、キスして?」
彼の声が切なげで、私は断れなかった。
唇が触れる。
いつもより、ずっと優しいキスだった。
それが余計に、別れを決意させた。
「さよなら、愛しい人」
「……もう、無理かも」
それだけ言うのが精一杯だった。
「は?」
彼が私を見る。その目には、困惑と動揺が滲んでいた。
「なんで?」
「……ごめんね」
「なんで謝るの? 俺、お前のこと大事にしてるのに」
「うん……だから、余計に……」
私は震える声で続けた。
「……これ以上、一緒にいたら、きっとお互い壊れちゃうから」
「壊れる? 俺は別に――」
「違うの、わかってるでしょ……?」
彼が言葉を詰まらせる。
「……ほんとに、行くの?」
「うん」
涙が零れる。
でも、私はもう振り向かなかった。
最後に彼が呼ぶ声がした気がしたけど――
私はもう、振り返れなかった。
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