【蜜に揺れる官能日記】14才、性のめざめ

芽生え

夏の匂いがした。

窓の外では、夕立の名残の湿った空気が揺らいでいて、生ぬるい風がカーテンをふわりと持ち上げていた。制服のスカートが肌に張りつくのが、少しだけ気持ち悪い。でも、その感覚さえも、なんだか違うものに思えた。

胸の奥が、妙にざわつく。

理由なんて、わからなかった。ただ、さっきまで目にしていたもの――スマホの画面に映っていた、それ――が、頭から離れない。

「……っ」

ふと、自分の指が太ももの上で動いたのを感じて、びくりと体が震えた。

何をしているんだろう、私。

息を飲み込んで、スマホをベッドの上に投げ出した。熱い。顔も、喉も、どこもかしこも。心臓の音がうるさい。

あんなの、ただの動画。見ちゃいけないもの。なのに、どうして――。

「……はぁ」

知らなかった。知らなかったのに。

人の肌が触れ合う音、濡れた吐息、指先がゆっくりと動くその軌跡。それを見ていたとき、頭の奥がぼんやりと痺れて、なぜか息が浅くなった。

もう一度見たい、なんて。思ってしまった。

最悪だ。こんなの、ダメなのに。

でも、どうしようもなく気になってしまう。さっきの感覚を、もう一度味わいたくてたまらない。指先が震えて、太ももに押しつけた。布越しなのに、ぞくりとした。

――怖い。

でも、それ以上に。

「……もっと、知りたい……」

たった一人の部屋の中で、誰にも聞こえないように、そっと呟いた。

疼き

指先が、じんわりと汗ばんでいた。

こんな感覚、初めてだった。

自分の肌が、こんなに敏感だったなんて知らなかった。普段何気なくしている動作――スカートを直す、膝に手を置く、寝返りを打つ。そんな何気ない動きが、今は全部、妙に意識されてしまう。

脚をぎゅっと閉じる。そしたら、余計に意識してしまう。

「……ん」

声を押し殺すように、唇を噛んだ。

どうしよう、止まらない。

頭の中では、「やめなきゃ」って声がずっと響いてるのに、身体はまるで反対のことを求めてるみたいに、じわじわと熱を持っていく。

――ほんの、少しだけ。

自分に言い訳をしながら、そっと指を滑らせた。制服のスカート越しに。布の向こう側にある自分の肌をなぞるだけで、ぞくっと背筋が震えた。

「……あ」

思わず、喉が熱を帯びた声を漏らす。

どうしよう、変だ。私、おかしいのかな。こんなの、誰にも言えない。だけど、頭の奥がじんじんして、今すぐ何かにすがりつきたくなる。

さっき見た映像が、まぶたの裏に焼きついてる。知らない男の人の手が、知らない女の人の身体を這う光景。その肌が、あまりにも気持ちよさそうで――

「……っ」

頭がくらくらする。こんなの、知らなかった。

熱くて、苦しくて、だけど、もっと――

私、どうなっちゃうんだろう。

ほどける

息が荒くなっていた。

部屋の中は静かで、壁に掛けた時計の針がひとつひとつ音を刻む。そのリズムと、私の心臓の鼓動が重なって、やけにうるさく聞こえる。

――もう、戻れない。

そう思った。いや、もしかしたら、最初から戻る気なんてなかったのかもしれない。

指先がスカートの裾をきつく握る。ためらいがちに、ゆっくりと滑り込ませると、ほんの少しだけ触れただけで電流みたいに痺れが走った。

「……っ、ふ……」

足が自然にすり合わさる。布越しの感覚がじれったくて、気づけば指は直接肌に触れていた。ひんやりとした自分の指先と、熱を持ったそこ。初めての感覚に震える。

「や……っ」

小さく震えた声がこぼれた。自分の声なのに、違う誰かのものみたいに聞こえて、ますます頭がくらくらした。

どうして、こんな……。

理由なんて、もうどうでもいい。ただ、もっと、もっと確かめたくて。

熱が溜まっていく。体の奥で、何かが膨らんでいく感覚。それが何なのか、わからない。でも、確実に近づいている。もっと、あと少し――

「……ぁ……っ!」

瞬間、全身が弾けた。

波が一気に押し寄せて、背筋が跳ねる。喉から漏れた声が、恥ずかしいくらいに甘く響く。指先が止まらない。余韻に引きずられながら、ただひたすらに震えを受け入れるしかなかった。

──知らなかった。こんな感覚があるなんて。

しばらく動けなかった。呼吸を整えながら、天井をぼんやりと見つめる。体は火照っているのに、心の奥は妙に静かだった。

恥ずかしい。けれど、それ以上に――

「……もう、大人になっちゃったのかな」

ぽつりと、独り言のように呟いた。

手のひらを見つめる。まだ熱が残っている。もう「知らない自分」には戻れない。これが、私の中で何かがほどけた瞬間。

時計の針は、相変わらず同じリズムで時を刻んでいた。

でも、私の中の時間だけが、ほんの少し進んだ気がした。

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